Blanka likorido

考えたこと・やったことを書きます

テイルズオブヴェスペリアが名作だった話


基本的に任天堂ハードしか遊ばないので、Switch版が出るまでTOVは遊べませんでした。やってみると確かに名作と呼ばれるのも頷ける出来でした。ちょっと考察したことをまとめておきます。良いところと悪いところを分けるとぐちゃぐちゃになりそうなので、項目毎に書きます。

コンセプト


公称ジャンルは『「正義」を貫き通すRPG』であるが、実際このゲームはメッセージを伝えることをゲームの軸にしている。メッセージを一言で言うのは難しいが、大きく3つに分けることが出来る:

1. 正義(正しいこと)をはっきりと決めることは出来ない

2. だから、自分の行動の責任は自分で取らなければいけないし、自分で取ればよい

3. 迷った時や決断が出来ないときには周りに頼ればいい

このゲームに現れる対立は何もかも対立しているわけではなく、この3つのいずれかと対立しているが、ある面では同じ方向を向いていることが多い。フレンとはゲームの後半までずっと1について対立し続ける。ラスボスは1や2では対立しておらず、3の面で対立していると言える。ラスボスは、人間が信用できなくなり人間を犠牲にすることで世界を救おうとするが、主人公側は周りを信じて問題の解決の模索していくことを選択する。


このゲームでは主人公はほとんど成長しない。主人公の考え方や選択を通して1と2の点で周りが成長していく。3に関しては主人公も成長するように見える。主人公はすべての責任を一人で背負おうとするが、その性格を知った仲間がそれを許さない。そしてそれを主人公が受け入れることで、主人公は3の点で成長することになる。


漫画でもアニメでもゲームでも、正義と悪がはっきり分かれたものから、それらが曖昧なものに変化した歴史がある。後者のストーリーはどうしても疲れてしまう欠点がある(と感じる)。RPGは前者をとりがちだ。正義と悪をはっきりさせるとどうしても当たり前のことを選択し当たり前のことを言うだけになるので、メッセージなんか入れようがなくなってしまう*1TOVは正義と悪で対立させず、それぞれの選択や思いに対立を描き、そこにメッセージを入れている。スキットではメッセージ性のある「なるほどなぁ」という会話がけっこうあったが、具体的にはちょっと忘れてしまった。

キャラクターデザイン


藤島康介のキャラデザが好きで、もちろん資料集も買うしインタビューから彼のキャラデザの考え方を勉強しているのであるが、ヴェスペリアが彼のキャラデザセンスが最も活かされたものだと思う。テイルズはファンタジーであり魔法が使える世界である。その世界観で和風のキャラクターが求められた時に、ユーリ、リタ、レイヴンはテイルズっぽさを絶妙に保ったなんと素晴らしい和風キャラではないか?シルエットでキャラクターが判別できるようにするという基本もバッチリだ。特にエステルの服は完璧だと思う。ジュディスのように髪を後ろでくくる髪型は前から把握できないので基本的によくないとされているが*2、クリティア族の耳と触覚で特徴的なシルエットを映えさせるために成立している。(髪を下ろしてしまうと耳と触覚が目立たなくなる)


ゲームで和風のキャラデザの意味が全くないことは残念なことだ。単にテイルズで和風デザインにチャレンジした以上のことがない。勝手な予想だが、元々はもっと和風を活かしたゲームにしたかったのではないだろうか?ハルルの町はその痕跡が残っていると思うのだがどうだろうか?

戦闘システム

そのうち書くかも

*1:サクラ大戦は正義と悪がはっきりしているが、それでも面白いのだからすごい。そもそも戦隊モノ的なベタな展開を前提にしてその上で映えるストーリーを乗せているからだと思う。

*2:サクラ大戦真宮寺さくらは大きなリボンのおかげで成立する